次論公論

 
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僕はこの業界が消費者に利益を還元できなくなった根本原因を精神、言い換えれば理念にある。と言ってきた。他の業界では顧客満足なんて当たり前のように言っているのに、どうして眼鏡業界はそれが出来ないんだろう?ず~っとそれを考えてきた。皆熾烈な競争で、量販店同士は少しでも利益を削って1円でも安く、専門店は量販店の攻勢にあえぎ参ったと手をあげている。量販店同士が喧嘩して共倒れというのは好きにしてくれと思うが、実際には体力の無い専門店から撤退しているのが実情だろう。メーカーだって新商品開発の余力を削ぎ落とし、そして営業の人数を減らし、小売店に対するケアだってしにくくなって来ている。ここまでは誰も儲かっていない。では消費者は小売価格の低下で儲かっているのだろうか?僕は前職の松屋で儲けのメカニズムという奴を学習した。

顧客が儲かったと思う時は、支払った金額以上の満足を得た時のみに儲けを感じる。

こう教わった。その通りだろう。安く良い物を提供したい、これは小売やメーカーだって常に考える。だが、眼鏡の場合にはそう簡単にはいかない。それは人の技術や人を育てる手間、ここに相当のコストがかかるからだ。中国に工場を移しても実際に検査/加工/フィッティングするのは日本国内だ。その方々の人件費がかかる。大手量販店は職人を育てながら人件費を削ることに限界を感じ、何をやったかというと、店頭に並んでいる状態では半製品である筈の眼鏡の物販化をもくろんだ。技術が無くとも極力さっと仕上げてお渡しする。これを目標にした。これで何年も研修せずにパートタイマーでも戦力化できる。まるで魔法のようだが、魔法は魔法でも黒魔術の類だと僕は思っている。人を呪わば孔二つ、人を憎むなら自分の墓穴を用意する覚悟でやりなさいという意味だが、今回のこの物販化という戦略は毒饅頭とも言ってもよい。この人を育てるという手法を放棄した量販店は差別化のほぼ全てをを価格に頼ることになる。つまり他者が下げればうちも下げる。まさにチキンレース、殺るか殺られるか。という勝負をしている。そして益々効率化という上っ面の戦術で眼鏡の道具としてのクオリティーを下げている。これでは顧客には満足していただけない。ならば更に価格を下げよう。こうして愚かな策を繰り返す。当然職人は育てられず、良い人材程この業界から去っていくだろう。そのしわ寄せは必ず顧客に戻り、そしてそれは満足どころか不満足要因として消費者に降りかかる。

この矛盾にどこかで消費者が気付かなければならない。何故ならその価格競争をウエルカムとし、1円でも安く買いたい、誰よりも安く買いたい。これが消費者自身の首を絞めることになっていると僕は思うからだ。そうやって価格だけでお店を判断し、目利きを放棄するのではなく、せっかくネットが普及したのだから、ご自身で調べてみるといい。きっと恐ろしくなるだろう。

一方、では専門店側にも問題があった。以前の平均単価、ディスカウンターが参入する前の粗利益、これが適正かどうかは分からない。だが一部では消費者に分からないだろうからと手抜きをして暴利を得ていた悪徳専門店が確かにあった。そしてその反動が新たな業態を生み出す原動力としたのだ。だからこそ、こんな今だからこそ僕らは原点に返らなくてはいけない。それは他ならぬ消費者本位の接客であり、そして顧客満足を意識した経営戦略だ。

だから僕は、小手先目先で指針を決めるなと思う。売上は目標ではなく結果だと、そして目標は顧客満足に設定すればよい。そして堂々と接客し提案すればよい。

今業界を席巻している新規参入の量販店、この方々は過去の業界の粗利益を見て、これなら(自分が)儲かると参入を決めた。専門店の後取りだって、眼鏡屋は不況に強く安定しているし、だからお店を受け継いだ。だが僕はそれを全否定するわけじゃないが、もう一つ上のレベルに引き上げたい。それは自分の磨いた技術で顧客の視生活をケアし、地域に貢献し、そしてもしも両眼視機能検査が普及した暁には国が変わると僕は豪語している。僕の言っていることが本当かどうかは分からない。でも日々お店では奇跡のような出来事が起こっている。その僕の心境は涙を流さんばかりに感謝してくれるお客様に奉仕したい。もっと良い眼鏡を作りたい。ただそれだけなのだ。そして全国で両眼視のケアを受けずにお困りの方々に少しでも早くこの検査を受けていただきたい。それには僕の手ではまるで足りない。それを分かっているからこそ、師匠がしてくれたように僕も知る限りを曝け出す。両眼視をやればどなたでもきっと顧客に満足を提供出来るこう思うからこそ、普及を目指すのだ。

少し宗教的に聞こえるかもしれないが、無私であり、利他を追及する道が己の利益だと僕は実感している。そしてお陰様で素人同然の僕が始めたこのお店は激戦区でもある吉祥寺で5年間お店を継続することが出来た。何も欲張らずともただ奉仕さえすれば、お客様には必ず思いは通ずるそんな心境なのだ。

業界に一石を投じたい。その思いで書き始めたこのブログも気付けば3年以上書き続けている。継続、地道、そんなことが大の苦手だったこの僕が継続できたのもきっと、自分の為でなく、世間に恩返ししたいというその思いがあったからこそだろう。

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