次論公論

 
09
 
僕がこの業界に入ってきた頃、眼鏡業界の市場規模は6.000億を下回る程度、数年前までは目指せ1兆円とスローガンに掲げていたと僕は人づてに聞いた。

2011年現在の眼鏡業界の市場規模はおそらく4.000億を大きく下回り3.000億円中盤程度かなと僕は勝手に予測しているが、それが大きく上回っている事を願うばかりだ。

単純な計算になるが、

5.500億-3.500億=2.000億。

この10年間で市場規模は2.000億も減退し、年に200億程度(およそ4%弱)縮小してきた。これを単価ダウンさせる激安店の登場のせいだ、責任論を展開する方が業界の内外にいらっしゃる。僕はちょっとそれとは考え方が違う。逆に激安店の登場は業界にとっては利益であり、それを活かせば単価は下がっても市場規模は拡大させることが可能だと思っている。

ここでさっと検索したらこんな記事が出てきたのでご覧になってみていただきたい。

高品質・高付加価値化という袋小路

ここで述べられているのは、パリミキが戦略的に時流を見誤ったと述べている。僕もそう思う。お顔に合わせるデザイン性を高付加価値化であり、激安店との差別化の答えだとするならば、それは東証一部上場企業のとる戦略としてはあまりにもベースが軟弱であり根拠としては希薄であると僕は感じる。次論では、ファッション性としてこだわるオンリーワンの商品は隙間の商品であり、世界に1本の眼鏡が欲しいというニーズはどちらかというと眼鏡マニアの様なコアな客層が好む。それをパリミキの様な業界トップが選択する王道とはどうしても僕は思えない。

その差別化に対して価値があるかどうかの判断が必要なのだが、ここでも費用対効果を感がる必要がある。多くの眼鏡ユーザーは、その自分の顔に合わせるという事に対して数万円という代価を支払う事に価値や魅力を僕は感じないと思っている。何故ならZOFFに代表される激安店には、10年前の品揃えは確かに今の基準からすればお粗末だが、今では品質やデザインバリエーションとしても魅力的な商材があふれている。別にわざわざ高いお金を支払わずとも手軽にお洒落な眼鏡が作れる良い時代になっているのだ。(皮肉じゃありません。)

だから僕は眼鏡としての本質を見誤るなと言い続けてきた。そして眼鏡は道具であると原点に返り、その道具を機能させる為の五大要素として

①フレーム

②レンズ

③検査

④加工

⑤フィッティング

という要素があり、これらのうちの一つが欠けても眼鏡は道具として機能せず顧客満足を得られないと言ってきた。そして道具として基準を満たした上でこれからの眼鏡屋は

三つのF(エフ)が必要だと言い始めている。それは以下の通りだ。

①ファッション性

②ファンクション(機能性)

③フェアネス(公正である事。)

つまりお洒落な眼鏡だけど検査もまともにしてくれないお店は顧客に見限られるよと言ってきた。

五大要素を満たした上で、眼鏡士は顧客のお洒落で機能的、そしてフレームやレンズのチョイスに親身になって相談してくれる儲け主義ではないお店。これが僕の提案する次世代の眼鏡屋さんだと説明してきた。顧客を脅せば簡単に単価があげられる業種だからこそ、それをするなという事だ。

パリミキの犯した間違いは道具として機能させる為には職人が必要で職人を育てる為に膨大な時間が掛かり、そして人件費が掛かる。それを踏まえた上で量販店の得意なフェアなプライスで勝負するべきだったと僕は思っている。だがその選択には膨大な時間と経費が掛かり、東証一部に上場しているパリミキはその人を育てて成長していく中長期的戦略を取る為に株主の信任を得なければいけない。だが株主は短期的な規模の成長を好む傾向にあり、この経営者層の長い目で見た企業利益や顧客満足がないがしろにされる恐れがある。

だから

人を育てられない。

投資家の満足を優先させるから

システムに頼り、人の力に頼らずとも会社が経営出来て利益を産み出せる魔法を求める。

だが上場企業にはそれをしにくい構造上の問題があると本ブログでも何度か指摘させていただいた。

僕はこれからの企業戦略は規模の成長ではなく、「質」の成長であると言い続けている。それは規模を追い求めても地球という惑星の資源には限界がある。そしてその行く末は環境破壊であると言ってきた。だから規模を縮小しろという短絡的な事は言うつもりもないが、企業として株主を向いて経営するのか?それともMBOをして中長期的な組織作りに取り組むのか?近年このMBOをして上場廃止する会社が増えているのは上場するという「リスク」に目が向けられ始めているという事だろう。

パリミキさんがMBOすると言えば僕は拍手喝采という事になる。

本題に戻るが、何故日本の眼鏡業界はこうも衰退してしまったのだろうか?

僕は少なくとも単価が劇的に下がる業態が参入し眼鏡一式単価が下がったからとは思っていない。僕ら専門店はそういった安売り屋さんが参入してきた時は差別化の好機ととらえるべきであった。またそういった一式数千円の業態の参入は新たな顧客層を産み出し、業界にとっても種まきになっている。そしてその売価が下がった恩恵により気軽に眼鏡を多くの人が掛けるようになった。そしてその業態に飽きた方は不満を感じ、必ずステップアップしていく、そのニーズは様々だ。

次はもっと良い眼鏡が欲しいと漠然と思ったり、

もっと疲れない眼鏡が欲しい。

ずれない眼鏡が欲しい。

締めつけ感の薄い眼鏡が欲しい。

どこにも無い眼鏡欲しい。

スポーツ用の眼鏡が欲しい。

ざっと並べても様々なニーズが出てくる。そしてその多様なニーズに応じた業態が正に今求められているのだ。

この不況の世の中(僕は今後ヨーロッパ発の金融恐慌に世界が巻き込まれ、日本も他人事ではなくなると思っている。)可処分所得が下がり、僕も含めた庶民の懐はめっきりお寒い状況で財布の紐はきつく締まる一方だ。だがそんな不況下でもある業界では堅実な実績を上げている。これも検索するとすぐに出てきたので他のサイトを紹介したい。

業種別動向・市場規模

僕は今眼鏡屋が業態毎に喧嘩している場合ではないと言ってきた。業界全体で一致団結し消費者に新たなニーズの種を蒔き業界にお金を落とす効果を宣伝する必要があると言ってきた。今はパリミキにしようか、ZOFFにしようか、それとも眼鏡市場にしようか?という前に、

先に炊飯器買おうか?

いや冬物のコート買おうか?

いやいや久々に旅行に行こうか?

と眼鏡は別の業界と競争しているのだ。ここでヤマダ電機を引き合いに出し、あの業界はヤマダ電機一社の売り上げが2兆円に迫り、対する眼鏡業界は小売店全てを合算しても4.000億に満たない。だから各社が個別にPRしてもそれはもっと市場規模の大きな業界に飲み込まれるよと警鐘を鳴らしてきた。

身内で喧嘩をしているうちに家が無くなった。そうはならないうちに僕らは業界全体としてどう取り組むかを考える必要があるという事だ。

そして僕は多様な業界を目指し、消費者に利益が商品のクオリティーの向上という形で還元出来る顧客満足を重視した企業としての戦略であり、戦術が求められていると説明している。半医半商というイメージの上に胡坐をかき適当な説明をしていて単価アップという戦略で売り上げを作っているお店は淘汰されますよと言っているのだ。

ここまで説明してきた経緯からすれば、市場規模が縮小につぐ縮小という事態を招いているのは僕らの無策に原因があると言いたいのだ。専門店の店長が激安店を馬鹿にして

「技術なら負けない。」

もしもこう思っていたとしてもそのお店が売上減に悩んでいるのならその眼鏡士としてのプライドや技術は顧客には届いていない。少なくとも満足を与えていないという事だ。積み上げて得た実績に基づく自信を投げ捨てるには多少の勇気が要るが、それを一度捨て去り謙虚に自分を見つめなおしてみてはいかがだろうか?技術とは何?という本質的な問いである。

その点は積み上げた物が無い僕は威張りようがない。だから逆に顧客の不満に耳が傾けられるのかもしれない。その実績不足の僕から業界を見ると顧客満足とはと自身の日々の取組を見直し取り組んでいるお店は僕の知り合いでは多くいらっしゃるが残念ながら業界の中でも主流とはなっていない。増してや僕のお店の売り上げは繁盛店というには程遠い。人の事をとやかく言う前にまずは自分のお店をなんとかしなさいという読者の皆さんの声が聞こえてくる様だ。それはともかく

せいをお陰に変える。

という思考法を僕は取り入れて日々プラスに考えられるように発想の転換をしているとは既に本ブログで説明しているのだが、今日本の眼鏡業界を表すに適したフレーズは

単価ダウンの「せい」で業界規模が縮小し苦しんでいる。

これをお陰に変えれば

激安店の新規参入というトピック(劇薬)の「お蔭」で僕らも真の意味で顧客満足を考えられるようになった。

これからも新規参入業者が後を絶たず、業界が活性化してくれることを願うばかりだ。

ありがたや、ありがたや。

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