次論公論

 
02
 
先日こんなご質問があった。

「私も両眼視機能検査をしていますし、眼位も測っています。それでもプリズムを半数の方に入れるなんてことにはなりません。伊藤さんはどんな検査をしてどんな根拠でプリズムを入れるかどうかの判断をしているのですか?」

と聞かれた。これに関しては本ブログでは何度も説明しているのだが僕の頭を整理する意味でも再度まとめて記事にしたいと思った。僕は100人検査すれば50人程度にはプリズムを入れている。実際に検査しているとプリズムを入れると効果が有るんじゃないかな?と感じる方は大雑把に言って7~8割程度の比率だ。だがその入れたくなる数値を8割とした場合には実際に処方した比率の5割からすれば3割分減らしている。その理由は

①コンタクトとの併用が上手くいかないと判断した場合。

②従来の眼鏡も併用したいと言われそれを全てレンズ交換する事は費用として無理だと言われたケース。

以上の二点が大まかに言えばプリズムを入れたくとも入れられない場合だ、中にはプリズムを入れる特注費用1組4.200円が勿体ないから入れたくないと言われたケースもあるが多くの方は4.200円なら支払えると言われるから費用を理由に断られるケースはレアケースと言える。

ではプリズムを入れたくなる理由は何だろう。ここは大事で、例え4.200円であろうとプラスの効果を感じない提案をしてしまっては相対的に満足度は下がる。それではせっかく手間暇かけて仕立てたメガネの手間そのものを否定してしまう。だから僕は効果を体感できない方にはプリズムは必要ありませんと言っている。実際にプリズムを入れている5割の方は僕が勧めている事も勿論あるが、基本的には

自分でプリズムを入れてみたいと決めている。

自分で決断させることが大切なのではないか?と僕は思う。僕はプリズムを入れた場合のデメリットを説明する。

多くは装用感に違和感を感じ慣らしのハードルが上がる事、

コンタクトや他のメガネとの併用に困難を伴う事、

価格が上がる事、

これらを説明してもご自身が入れてみたいというプラスの効果を体感していただき、そして僕は説明する。そしてプラスの効果をマイナスの効果で差し引きしてもプラスが多いと思えばご自身で決断されるのである。

ではプラスの効果とは何だろう?

これは多岐にわたりコンパクトにまとめるのは非常に難しい。またそのプラスの効果の宣伝を本ブログは目的として紙面(ウェブ上では紙面とは言わないけど、こんな時に適当な言葉は何て言えばいいんだろう?ご存じな方はコメント欄にでも書き込みして教えて下さいね。)を割いてきた。過去ログ見てね、では膨大になりすぎるし、う~ん。とりあえず思いつくままにざっと書いてみよう。

肩こりや慢性頭痛、眼精疲労に代表される体の不定愁訴と言うべき体の不具合が軽減する。場合によっては劇的に改善する。

視力が改善する。

メガネの装用感が向上する。(一時的には違和感を伴うが装用感の向上の為にプリズムを入れる事がある。特に遠視の外斜位等はこの効果が大きい。)

特にベースインに入れた場合には本を読むのが楽になる。行が追いやすくなる。読解力が高まる。

自律神経の乱れが整う等神経系にプラスの効果を与える。

乗り物酔いもそうだし、

姿勢の乱れが整う。つまり骨格にも影響を与えるという事。

こんな状態が僕には原因は分からないが改善される事が多い。また体が病気になる前の酷い状態であればある程に改善される度合いも強くなる。逆説的に言えば何も困っていない人にはプリズムを入れても効果が無い人にはマイナスの効果ばかりが強調される事になる。そういった方々が興味本位で一度試してみたいとご本人から言い出してメガネを作っても何も変わらないと単価が上がった分だけ満足度が下がる事になる。

だから僕は効果が無いと判断した場合にはプリズムを勧めない。

一方、自覚が無いし今心身に発生している多くの不具合と目は一切関係ないからメガネで特殊な事をする必要が無いと言われる事も少なからずある。

この場合には二つに分けて考える必要がある。

一つは

体に不具合は発生しているが根(原因)が目ではなく他にあるケース。

この場合には確かにプリズムを入れてもプラスの効果が無い。

二つ目は

体に不具合が発生しているが根が目に有るケース。

二つ目の事例では目に大きなストレスを抱えているが実際に不具合は目以外にでるケースが有る。それを僕らが問診で探りどこに根が有るのか、それとも無いのかを一つ一つつぶしていく作業に入る。また頭からメガネでそんな事(肩こりや頭痛やめまい、耳鳴り、乗り物酔い等)が改善する筈がないと決めてかかっている方にそれを認めさせるのも本当に難しく。かちんこちんに固まった頭をほぐす必要もある。病は気から、とあるが体の不具合が改善するのもメガネでそんな事は無いと信じている方よりも、

「へ~そんな事もあるのかね~。」

くらいに気軽に考えている方の方が効果が大きい。過去の経験が邪魔をし自身の考えに固執することが邪魔をするケースが有るという事だ。

それでは実際にどうやったらプラスの効果を体感させてその場で決めさせるのだろう?あくまでも僕はこうやっているという程度に聞いて欲しい。

まずは新聞やレンズメーカーが作成し小売店に提供している見え方体感シート、そんな物を用意していただく、無ければ新聞で充分だ。この場合のフォントは株式欄のような小さい物の方が分かり易い。

そして

外斜位であれば

遠から近へ、

内斜位であれば

近から遠へ、

視線の移動をしていただく、すると外斜位であれば遠から近へ視線の移動をした時にプリズム入りとプリズム無でピントの合う時間をご自身で判断していただく、この時に余力が充分にあればプリズムを入れても効果は無いと言うし場合によってはプリズムが無い方が早いと言われる場合もある。プリズムを入れて輻輳過多になっていると判断する。

ここで余力に関して簡単な説明が必要だと思う。例えば28才、仕事はIT系で一日PC作業が仕事の大半で一日10h以上PCばかり見ている人と、

年齢は一緒で仕事は接客業でデスクワークは殆ど無い。

このどちらのケースでも調節力は年相応だったとしよう。僕が知る限りではIT系の方の方がこの遠から近への視線の移動に対してプリズムの効果をより分かり易く体感される。え!?と驚かれるケースもある程にだ。

28才と言えば老眼には大概なっていない。それでも手元を見るのにストレスが生じているケースがあるという事だ。調節力は問題なくとも余力は無いのだ。そしてその余力の整備をプリズムを使って整える。

調節に問題なくとも常に黒目を内側に寄せてPC作業を日々し続けている方の方が輻輳にも調節にも余力が無くなっていく。そしてそれをプリズムで助ける事により元々調節力としては問題無いご年齢であれば調節も輻輳も仕事量が過度にならなくなっていく。本来は調節も助ける為に、このご年齢でも球面度数で焦点距離を調節するべきだという次論は既に本ブログでは耳タコ話だと思うので割愛させて頂く。

この遠から近への視線の移動で自覚が無い人にも次のケースでは自覚をハッキリ体感するケースがある。

150~200文字程度の文章を

「極力早く、かつ暗記するぞという勢いで真剣に読んで下さい。」

と伝え読ませる。

それをプリズム入りと無しで二度同じ作業をさせる。するとプラスの効果を体感される方はこんな事を口にする。

「あ、さっきより早く読めた。」

「行が飛ばなかった。だから何度も読まずに済んだ。」

「頭にすっと入ってきた。」

特に遠見眼位で異常なずれが無い方も近見の度数にプリズム入りと無しとを比較するとこんな自覚を感じる事が多いのだ。このように体感させる事でその効果を実感したお客様は自分で試してみたいと思うようになるのだ。

また完全矯正値で左右の視力差がある方には効果の有無を問わずプリズムを視力の出にくい目に入れる事がレアケースだがある。この場合にはご本人の自覚よりも左右の視力を揃え、視力が揃った状態で調節バランスを整える事を目的とする。中には視力の出にくい目の度を強くし出やすい目は度を弱くする(近視の場合)ような僕に言わせれば乱暴な処方をしているケースもお医者様であろうと眼鏡士であろうとお見かけする。これの最悪が狙っていないのにモノビジョン状態になっているケースである。僕はモノビジョンそのものは否定しないが、それは最後の手段だと思っている。これも既に説明済みだがモノビジョンは自律神経を混乱させ、自律神経の混乱による影響が身体に大きな影響を与えると僕は思っているからだ。

こうして説明してみると肝心なのは問診と効果の説明であり、検査論なんて物よりも僕の中ではその問診と説明に時間を割いている事が分かると思う。そしてその時間を割いても事業として採算のあう業態は専門店でしょ?量販店には単価を大幅に見直さない限り出来ないよと言ってきた。両眼視機能検査は差別化の一つの手段であると説明してきた。だが検査だけしてプリズムを入れないのであればそれは当初の一時的な集客効果にはつながってもその後の口コミ効果は期待できないと僕は思っているし、お店を開いて6年半程。その口コミ効果で今僕のお店は売上の大部分が構成されている事をご報告したい。

しっかり説明し、しっかりお客様の主訴をお聞きする。メガネ屋でなくとも単に商売人としての原理原則な気がするのは僕だけだろうか?






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