次論公論

 
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僕は遠視は潜伏するので気をつけて~とこのブログで警鐘を鳴らしてきたつもりで謙遜交じりに

「私は(僕は)眼だけはいいのよ。」

と仰る方の一部に遠視の潜伏が有り、実際には眼が良いどころがストレスの溜めやすい危険な眼だったりもする。そんな方が決して少なくないと言ってきた。

今日いらしたA様(39才 PCを長時間見るお仕事)もそんな遠視の状態だった。だが裸眼視力は二年前までは2.0、本日お店で検査すると両目で0.8とご本人も自覚されていたが急激に視力低下を自覚するようになった。ではそんなA様の眼には最初から遠視はすんなりでたのだろうか?まずはレフという簡易な検査機械での測定値以下の通りだ。

【レフという機械での測定値】
RS±0.00 C-1.00 AX84
LS-0.25 C-0.75 AX90

この様に最初は遠視のえの字も無い。それを片眼遮蔽屈折検査という検査法で測定すると多少の遠視が出てきた。
それが以下の数値だ。

【片眼遮蔽屈折検査での測定値】
RS+0.25 C-0.75 AX90
LS+0.25 C-0.50 AX90

この様に多少遠視気味という測定値になった。だが価格勝負で運営されているお店では当初のレフという機械での測定値をベースに度数決定されてしまう事があるから要注意だ。

だがここで終わらない、一般的なお店ではこの様に片眼遮蔽での状態で検査する。だがこれを両眼解放屈折検査といった片目を遮蔽しないで測定すると調節の介入が更に外される。ちなみに

調節の介入=遠視が弱めにでる。(弱度の遠視であれば上記のレフでの測定値のように近視よりに測定される事もある。)

その測定値は以下の通りだ。

【両眼解放屈折検査での測定値】
RS+0.75 C-0.75 AX90
LS+0.75 C-0.50 AX90

この様に変化した。この両眼解放屈折検査を実施しているお店はどちらかと言えば少数派だと思う。このひと手間を掛けて少しでも遠視の潜伏を炙り出す手間が必要だと理解しているお店が少数派だという事だ。

この調節の介入を外し、屈折異常の量を正確に測定する技術を僕ら眼鏡屋は競っている。だがどんな検査法を用いてもこのA様の遠視の潜伏を短時間で全量炙り出す事は不可だと僕は感じている。それは例えば調節麻痺剤を使っても凝り固まった眼は調節の形を維持しようとする事が多々あると僕は思っている。つまりこれ以上の潜伏を炙り出す為には、ここから先は手探りで進む必要があるという事だ。

そこで僕はS+.1.00を加入して遠見を見させる。そして眼を閉じ腹式呼吸で深呼吸をさせる。そしてゆっくり今度は視力表を見させた。すると先程の度数と変わらず1.2の視力が出る。ここで更に遠視は潜伏していると確実視した。

今回このA様の主訴は

「最近タブレットとかスマフォ、そしてPC画面を見ると10分もせずに疲労が出る。それを何とかしたい。」

そう仰った。先ほどのS+1.00を加入していない状態ではきっとこのお方の主訴は改善されないだろう。だから今回は遠視の処方の原則に則り最高視力で最強度を狙って作成した。つまりこの場合は焦点距離は無限遠に設定され、焦点距離を手元に調整する事は避けた。

僕はこのA様はまずこの度数を常用していただき、更に遠視の潜伏があれば矯正するし、手元もこの度数なら裸眼に比較し明らかになるだろう(実際に検査時に楽と感じて頂いた。)だが手元のレッド/グリーン視標を見させるとこの度数でも緑寄り更にS+1.00加入の必要があると検査結果は教えてくれた。だがそんな度数を初めて眼鏡を掛けるこのA様は掛けこなせないし、掛けこなしたとしても手元のケアだけにとどまる。

それならば無限遠に焦点距離を調整し常用させる事で全ての距離で遠視のケアをしようと僕は思ったのだ。

今後数年後に今回の眼鏡でも疲れるときっと仰るだろう。その場合には手元用に調整しもう一つ作って下さいとお願いした。

A様とはきっと長い付き合いになるだろうなと思った。ちなみ眼位はどうなの?と次論公論の昔からの読者なら思ったかもしれない。答えは外斜位だった。

遠視+外斜位は危険な組み合わせ。

僕はずっとそれを言ってきた。だが

①今回はほぼ正位に近い外斜位だった事、

②近見では固視ずれしていたが、遠見では固視ずれが確認出来なかった事、

③近見での固視ずれを矯正しようとプリズムをBIで両目合算で1.50D入れると装用感が酷くなった事、

④更に加入をしなかった事も含めてまずは眼鏡に慣れて頂く事、

以上の①~④を考慮し今回はプリズムの処方を見送った。数年後に手元用を作成する場合には勿論しっかり矯正する予定だ。

【今回作成した度数】
RS+1.75 C-0.75 AX90
LS+1.75 C-0.50 AX90 両目で1.2

使用したレンズは弊店の在庫レンズ、SEEDの1.60球面UV(一組¥6.300.-)で作成した。凸レンズでは収差が気になり訴えられるケースが多いが、今回は初めてなので敢えて球面で提案した。今後眼鏡にご興味を持っていただき、理解が深まればブルーライトカットレンズや非球面なども提案したいと思っている。

フレームは僕が世界一の掛け心地と公言している(勝手に言っている。)カズオカワサキのMP695、名作と謳われるMP692からの派生シリーズだ。このリムは歪みも非常に取り易く綺麗に歪み無で加工が出来る、掛け心地だけでなく本当に素晴らしい名作だと思う。製作は福井県の増永眼鏡。どうか長く可愛がっていただきたい。

A様これで少しでもPC作業が楽になれば良いですね。再調整等は遠慮なく申し付け下さいませ。先ほども申し上げましたが、眼鏡屋と車屋は似ています。売ったらお終いではなくどちらの商売も販売してからがお付き合いの始まりなのです。今後ともよろしくお願い致します。

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