次論公論

 
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少し古いねたになるのだが、先日久米宏さんがニュースキャスターを勤められているテレビ番組で、タイトルの「あなたは何故働くのですか?」と視聴者に問うという企画があった。僕はえらい難しい事を聞くなと思っていたが僕の答えはすぐに出たので、他の方々がどういった考えなのか興味津々だった。

そして街頭インタビューではランダムに通行人を選び(本当にランダムがどうかはおいておく。)その設問を投げかけていた。

「家族の為に」とか、

「生きる為」等回答は様々だったがその中に僕の答えは無かった。そして久米さんが答える番になったが、久米さんは

「生活の為」だった。僕は

「え!?」と意外に感じた。

久米さんは生活するのにそれ程困っているようには見えなかったからだ。だがその後の説明では、若い頃には人並み以上に苦労し、生きるのに必死だったそうだ。だから仕事は生活の為、それが染み付いてしまったそうなのだ。またゲストコメンテーターの経済評論家の女性(ごめんなさい、よくお見かけする顔なのですが、お名前が出てきません。)は久米さんに付け足していた。それは

「誇りある生活の為。」なのだそうだ。

なる程、全ての方が誇りを保てる環境、それはきっと素晴らしいだろう。と僕も納得だった。だが僕の回答は違う。僕は

「恩返しの為」に仕事をしている。

それは産み育ててくれた両親であったり、僕が生まれ育ったこの国、日本にとってであったり。勿論、どうしようもない僕も拾ってくれた眼鏡業界に対しての恩返しなのだ。恩返しだからこそ、自分にとっては必要の無い事、つまり検査方法の普及にも取り組む。どこかに僕と同様困った方がいないかな?そんな方々を救う事はきっと、その親御さん、そしてその方自身が仕事に生き生きと取り組める環境整備になる事を意味している。それはきっと国家に対しても納税者の戦力アップを意味しているのではなにのだろうか?

更に眼鏡業界にとっては、本来、時間を掛けて人を育て、しっかりと機能させる道具を消費者に提供しなければいけない筈が現状そうはなっていない事。そして物販化を目指し、誰にでも売れる商材として売ろうとしている大手量販チェーン。それは優秀な人材が眼鏡業界に集まり難い構造になる事を意味している。それは人件費/教育費を下げて、低価格化を実現しているからだ。だが、僕はそれでは消費者が損をすると言っている。道具のふりをした眼鏡をお似合いですよで売りさばき、それで終わってしまっているからだ。それをしっかり機能させる為には人を育てる為にお金を使い、そしてその方が一生の仕事として生活基盤を築ける年収が必要だと僕は言っているのだ。そんな危機的状況の眼鏡業界をもう一度消費者にとって本当に利益を還元出来る業界に再構築する。

それが僕の「仕事」なのだ。

一方、お店で僕がお客様とお話して眼鏡を作っている事は、実は普通の人ともしかしたら感覚が違うのかもしれない。僕にとってお店の仕事全般は実は道を究める修行や、楽しい趣味のように感じる。だから僕は趣味だけしていては申し訳ないといわんばかりに、いつか両眼視機能検査が普及しないかと、一見に困難に見える道を選びライフワークとさせていただいているのだ。またそれは僕をこの道に誘ってくれた友人や、前職の社長さん。お世話になった方々へのお礼の気持ちをあらわしたい僕の思いでもあるのだ。そして僕のレンズのお師匠は僕を新宿のお師匠に紹介もしてくれた。ここから僕はガラッと人生が変わったのだ。それから新潟の加工のお師匠、そして埼玉のフィッティングのお師匠との出会いも新宿のお師匠がセットしてくれた。そういった出会いが無ければと考えると空恐ろしい、とっくに廃業していたと思う。それ程にこの方々との出会いは僕に大きく影響を及ぼした。

僕は二度の転職を経験している。そしてそのいずれも僕に言わせればもう少しその場で頑張ればやれる事があったんじゃないかな?今ではそう思っている。つまりまだやれるのに逃げた。そう思えるのだ。そんな駄目な僕を拾ってくれて育ててくれたこの業界に僕はまず恩返ししたい。だから僕は言いたくないがこのブログ開設当初からお願いしているのは、僕が言っている(にすぎない)理想の眼鏡業界になった場合は眼鏡の値段は元に戻す、眼鏡の小売単価は上がりますよ、と繰り返しお伝えしている。そうしないと結局損をするのは消費者になると僕は思うからだ。これを支持されなければ何も変わらない。僕はいずれ法律を変えたいと思っているからだ。これは何も眼鏡業界に限った事ではない。他の業種でも職人としての腕を評価し、それに見合った代価を支払う。それをもう一度見直し評価していただきたい。そんな誇りを持って働ける時代としたいものだ。

Comment

2009.02.13 Fri 13:41  |  Re: タイトルなし

> hal様
>
>  消費者の方から、「高くても~有り難い。」と言っていただけるのは本当に励みになります。
> 最後のご意見についてもありがとうございます。簡単に僕の考えをご説明させて下さい。
> 僕は身近な家族の住まう西東京市や小平市、そしてそれらの集合体で有る東京都、
> そして47都道府県が集まった「日本」に感謝しているのです。そしてそれらは僕の中で連続し、「家族」を思うからこそ「日本」を憂うのです。そのラインの断絶が今の日本の問題点ではないのでしょうか?halさん。あなたのこういったコメントが僕のやる気の源泉です。これからも僕に対する、応援、叱咤激励。どちらでも結構ですので遠慮なくどうぞ。本当に有り難く思います。
  • #-
  • グラシアスの店長さん
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2009.02.13 Fri 02:47  |  店長さんとYに感謝

難しい話だと怯みましたが読み返してみると言いたいことが見えてきますね!
ファッションの一部として見た目のデザインに惹かれる方々とは違い.僕を含めた所謂”視力が悪い”立場としては.デザイン重視も大切だとは思うけれど.なにより機能性であったりレンズの厚みであったり.”眼鏡”と呼ぶのであればまず”視力が悪い立場の人間”の事を真剣に考えてもらいたいと思う。
話が反れましたが.”安ければいい 安いにこしたことはない”に対応する店の姿勢とサービス
”高くてもそれなりの姿勢とサービス”がある方は僕にとっては非常にありがたいです。たくさんの人の協力があって今の店長さんがいる訳で.その店長さんのおかげで僕らも助けられたりするけれど.僕らや日本にに感謝すり前に家族や師匠さん.一番身近な支えに十二分に感謝を伝えてはいかがでしょうか?僕の勝手な意見かもしれませんが。
長文失礼しました。
  • #-
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